【空き家blog 23】老築したアパート

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築46年の木造アパート、解体費用500万円也

羽田空港にほど近い住宅街の一角。いまにも倒壊しそうな築46年の木造2階建てアパートは、まるで「幽霊屋敷」のようでした。

その老朽アパートが大田区によって強制撤去されたのは2014年5月。東京23区内では初の事例でした。

大田区まちづくり推進部の粟飯原勉係長は、「このアパートは、10年ほど前から『強風で剥がれたトタン屋根が飛んできて危ない』など、近隣住民から苦情が寄せられていました」。

所有者は高齢の男性でしたが、区の指導にまったく耳を貸しませんでした。

ですが、こんな状態の空き家でも民法上は立派な私有財産です。強制撤去すれば、財産権の侵害にあたるため、区は所有者との面談、文書による改善依頼などの対応しかできませんでした。

こうした事例の増加に対応して、大田区は2012年、「空き家の適正管理に関する条例」を制定。条件を満たせば強制解体・撤去が可能になりました。

初の適用となったこのアパートの解体費用は500万円。所有者に請求したが支払われなかったため、土地と預貯金を差し押さえて費用を回収しました。

粟飯原係長は、「この件では所有者に支払い能力があったから回収できました。ですが、危険な空き家の所有者は金銭的な余裕がない場合もあるかと思います」

では、所有者が支払えないとき、誰がその費用を負担するのでしょうか?

気になるのは、発生した費用を実際に「誰が」負担するのかです。冒頭の大田区のケースでは所有者が支払えましたが、公費を検討せざるをえないケースも十分ありえます。

ボロ家

の知る古い賃貸物件のオーナー様で、修繕費など維持管理の支出を、極端に嫌がる方がいます。

そして借主退去後も、原状回復への支出が一定額を超える場合は、客付けは中止し空室のままにします。従って賃料収入も減っていきます。(そちらは物件担保の借入金返済はありませんが・・)

そうして物件は朽ちていき、その内危険な箇所が出てきても、修繕すら出来なくなるでしょう。もう人に貸せる状態では無くなりますね。

建替えや更地にして売却など、出口戦略の提案には聞く耳を持たないので、いずれ放置するのではないかと危惧しています。

前述の老築アパートも、もしかしたら同じような経緯をたどったのかも知れません。

物件の所有者様においては、空き家になる前に、「今後空き家になったらどうするか?」を考えて置かなくてはいけませんね。

私も不動産業者として、危険な空き家を減らすために、所有者様に提案・啓蒙を続けなければと思っています。

(本文はYahoo! ニュース7月29日の記事を一部引用しています)

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